カフェを始めたきっかけ
私の初めての就職は大手レストラン経営の 新規オープンの喫茶店でした。
小樽の中心部で店長と二人で切り盛りする小さなお店。
オープン準備から~やむなく閉店の後始末まで たった2年の経験でしたが 窓の大きな
明るいお洒落なお店でした。そのころ、
将来こんなカフェを自分でやれたらいいなって
夢を持っていました。
その後、結婚、子育て、仕事に追われる日々の中 そんな夢など忘れて過ごし
40代になって 子供たちも自立し一段落。忙しく仕事もしていましたが充実感もなく、
たまに息抜きに 友人とランチに行くことが楽しみでした。
ある時 友人に 将来何か夢ある?と聞かれ 40代で将来?夢?
ないない 老後の心配ばかりです。
もし私の好きなことを仕事にできたら残りの人生どんなに輝くだろう…
私の好きなことって食べる事、 お料理作って食べてもらうこと
大したものじゃなくても おいしいって言ってもらうと幸せ
好きなものを食べて、お腹が満たされると自然と笑顔になります。
資格もない、貯金もない、今から何もできるわけない。
若いころに 何か夢あったかな?
あった! …けど今からじゃ…絶対無理だぁ
でもまあ、夢ある?と聞かれたことがきっかけで
自分だけの妄想が本格的に始まりました。
いつ、5年後の自分の誕生日にカフェオープン
どこで、札幌の円山あたり、イヤ、無理なので小樽の駅前、都通りにしよう
不動産情報などネットで調べはじめ
店名は ちょこっとカフェ
食器やメニュー盛り付け 外観、店内 カウンターがあれば 友達とおしゃべりできる。
などなど想像するだけでも ワクワクして楽しくなり
どんどん具体的に 計画、計算 絵コンテ描き、
小樽~札幌のカフェを巡り そこのオーナーさんにお話聞かせてもらい情報を集め、
動き出すと、不思議に
関連した人、物、情報が入ってきます。
仕事しながら 休みなくバイトも増やし
10万20万円と貯まっただけで
無理だと思っていたことが現実に成りそうに感じ
本気でこの夢叶えるって決めました。
そんな時 試練が起こってしまいました。
両親の介護です。
同居しなければならない状況になり 家の購入や引っ越しで
カフェのために貯めた貯金も使ってしまいましたが 夢への想いはあきらめません。
まずは、両親との一日一日を大切に 1分1秒を大事に ゆっくりと過ごしました。
介護も少し落ち着いたころ、目標のオープンまであと2年しかない!
両親を看ながらここで自宅カフェがしたい!
思い立ったら 居ても立っても居られない
また夢に向かい動き出すと何をしたのか覚えていないくらいの勢いで
あっという間に家の改装工事が始まりました
お店を始めたら両親と旅行も行けなくなると思い、車椅子の母と、アルツハイマーの
父と3人で、それぞれの親戚をめぐる旅に出ました。フェリーや飛行機で青森、東京、長崎に一緒に行くことができました。
カフェのオープンを前に私なりの精一杯の親孝行をさせてもらいました。
旅の後も、両親の介護とお店のオープン準備は続きます。
今、思えば大変だったと思います
でもその時はただただ夢中で 両親のそばに居られる幸せと
お店が出来上がっていくワクワクで 疲れも辛さも苦しみも感じないで
突き進んでいきました。
私の夢を応援している 先のない両親のために
あの時、妄想で決めた目標の5年後の誕生日よりも半年早く
2011年8月1日に開業することができました。両親はとてもよろこんでくれましたが
ちょこっとカフェのオープンを見届けたかのように
2か月後、父は倒れ他界しました。
その後 お店はスタッフに助けられながら母の介護をさせてもらっていたのですが
1年後、母も亡くなりました。父の最後の言葉がいつも私の励みになっています。
「店…がんばれ、」と…
10年目の今も両親の友人、知人の方々がご来店されると
「ああ、またお客様つれてきてくれた。応援してくれている、見守ってくれている」と感じます。
40代のあの時の私が、絶対無理でしょ!って思った夢は
絶対やると決め行動したことで ちょこっとカフェという私にとって
理想以上の夢が叶いました。
私の夢を叶えてもらえたのは出会えた人たちのおかげです。
そして続けて来られたのは
スタッフやお客様 特に地域の方々に可愛がっていただいたおかげです。
今までは夢中に自分の夢だけを頑張ってきましたが
これからは ゆっくりと皆様に
恩返しをさせてもらえる
ちょこっとカフェで在りたいという夢を叶えます。